夜行バスは危険って本当?事故や新型コロナウイルスへの取り組みを紹介

夜行バスを利用するときは、危険性が無いか気になるところです。実際に過去には大きな事故も発生しています。心配があると安心して眠れません。 最近ではコロナウイルスの感染対策も気になるところです。各バス会社ではどのような取り組みをしているのか紹介します。


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夜行バスの危険性①事故が起きる可能性

まずは、事故を防ぐ取り組みについて見てみましょう。

夜行バスの事故はなぜ起きてしまうの?

かつてバス事業に参入するには、事業区域ごとに免許が必要でしたが、2000年(平成12年)2月の改正道路交通法によって、事業者ごとの許可制に変わりました。これによって異業種からの参入が相次ぎましたが、競争の激化により、さまざまな問題が発生します。

そのひとつが、運行中の事故です。ときには大勢の乗客が犠牲になる痛ましい事故も発生しました。事故の主な原因は、車両の故障や運転手の不注意、無謀運転、居眠り、体調不良によるものです。

競争が激化すると、収支が厳しくなります。真っ先に削られるのは人件費や車両費、修繕費あたりです。

人件費を削ると、少ない運転手でスケジュールをこなそうとするので、ひとりあたりの負担が重くなります。低賃金のため新たな希望者も、なかなか見つかりません。次第に運転手の寝不足や疲れが蓄積して、事故を誘発しやすくなります。

車両費を削ると、新しい車両を購入できず、古いものを使い続けなければいけません。古くなるほど故障しやすくなるため、普段の整備で未然に防がなければいけませんが、人件費や修繕費を削っていると、そこまで手が回らなくなってしまいます。

こうした問題を解消するため、2013年(平成25年)に新たな制度や基準が定められました。大きな変更点はふたつです。

ひとつめは、夜行バスをはじめとする「高速乗合バス」を運行できるのは、乗合バス事業者か、乗合バス事業者と運行委託契約を締結している貸切バス事業者に限定されました。

乗合バス事業者になったり、運行委託契約を締結したりするには、運転手や車両の管理、資金計画など、厳しい条件をクリアしなければいけません。

ふたつめは、運転手の労働時間や連続運転時間、休息時間などの基準が明確に定められました。夜行バス(午前2時から4時までが含まれる運行)であれば、ひとりの運転手が走行できるのは400km(特別な安全対策をすれば500km)までです。それ以上、走行する場合は交代の運転手を用意しなければいけません。

事故を防ぐためにバス会社が行っている対策

新たな制度や基準によって、対応できない業者はバス事業から撤退しましたが、それでもまったく事故が無くなったわけではありません。各バス会社でも個別に事故を防ぐための対策が求められます。

例えば、運転手の体調管理です。労働時間や休息時間を守るのはもちろん、バス会社の中には、勤務時にアルコールチェックや健康状態の確認を行っているところもあります。運行管理者が運行状況を監視していたり、運行中にも疲労の状況確認などを実施していたりすれば、より安心です。

また、車両についても定期的に点検や整備を実施するだけでなく、ドライブレコーダーや運転モニター(運転手の表情などから異常を検知すると警告される機器)などの安全装置を搭載していれば、事故のリスクを軽減できます。

こうした対策は、バス会社のWebサイトに掲載されているので、利用前に確認すると良いでしょう。

夜行バスの危険性②新型コロナウイルスへの対策

2020年(令和2年)から日本で流行している新型コロナウイルスは、未だ終息する兆しが見えず、引き続き感染のリスクも高まっています。長時間にわたって同じ空間にいる夜行バスでは、どのような対策をしているのでしょうか。

バスは3密になりやすいという誤解

走行中のバスは閉ざされた空間であり、内部には運転手と数十名ほどの乗客がいます。状況だけ見ると、「密閉・密集・密接」の3密に見えるかもしれません。しかし、これは大きな誤解です。

ほとんどのバスは、走行中にエアコンを外気モードにして常に車内の空気を入れ替えており、決して密閉された空間ではありません。早ければ約5分で車内の空気が完全に入れ替わるといわれています。最も誤解されている部分なので、各バス会社とも、安全性を積極的にアピールしています。

密集や密接については、後述するとおり、バス会社ごとに対策を行っているので、コロナウイルスに感染するリスクは、限りなく低いといえるでしょう。

もちろん、乗客側も感染リスクを高めてしまうような行為は避ける必要があります。例えば、車内で食事をしたり、マスクを外して会話したりするなどです。自らも意識して気をつけましょう。

バス会社が取り組んでいる新型コロナウイルス感染予防対策

どのバス会社でも、乗客が夜行バスを利用するときにはマスクの着用を求め、アルコール消毒を促しています。検温を実施しているところも少なくありません。ほかにも、個別に以下の対策を実施しています。

WILLER EXPRESS(ウィラー・エクスプレス)

ピンク色の車体でおなじみのWILLER EXPRESSでは、座席ごとに顔の高さまである仕切りを設けており、ヘッドレストには顔を隠せる「カノピー」も装着されているのが特徴です。さらに、希望者には口元を覆えるフェイスカバーも配布しています。

カノピーはコロナウイルスが流行する前から導入されており、睡眠時に寝顔を隠せたり、光が入ってくるのを防げたりするのがメリットです。もちろん、目的地に到着した後は、車内清掃でひとつずつ拭き取り除菌を行っています。

さくら観光バス(ミルキーウェイエクスプレス)

桜の花びらがトレードマークのさくら観光バスでは、一部の車両にプラズマクラスターイオン発生機を導入済です。外気モードと併せて、常に空気を浄化しています。利用する夜行バスに搭載されているか、予約時に確認してみましょう。

高松エクスプレス(フットバス)

香川県の高松市を拠点とする高松エクスプレスでは、「コロナウイルス追跡システム」を導入しています。同じバスの乗客にコロナウイルス感染者が出たとき、メールで知らせてくれるサービスです。

携帯電話で車内のQRコードを読み取り、メールアドレスと乗車したバスの情報を登録すると利用できます。いち早く感染のリスクに気づけるので、周囲に拡大するのを未然に防げるのがメリットです。

安心して夜行バスを利用するためのポイント

バス会社ごとの取り組みが分かったところで、夜行バスを安心して利用するには、どのようなポイントに注目すれば良いのか見てみましょう。

バス会社の安全性を調べる

安全性に対する取り組みはバス会社によって異なります。基準や制度を遵守するだけでは、事故を防ぐのに不十分です。先述のとおり、取り組みの内容はバス会社のWebサイトに掲載されているので、利用前に確認しましょう。

また、夜行バスを選ぶときは価格を優先しがちですが、極端に安いと人件費や車両費、修繕費など、必要な経費を無理して削っているかもしれません。安全性も重視した上で、安心して乗車できる夜行バスを選択しましょう。

新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルス対策についても、取り組みはバス会社によって異なります。安全性と同じく、取り組みの内容はバス会社のWebサイトに掲載されているので、利用前に確認しましょう。

もちろん、自分でも対策することが大事です。マスクの着用や飲食・会話の自粛はもちろん、乗車券を購入するときも、混雑する窓口は避けて、インターネットを利用すると良いでしょう。

安心できるバス会社を探すならバスブックマークがおすすめ

インターネットで夜行バスを探すなら、バスブックマークがおすすめです。

数多くの夜行バスを扱っており、運転手(乗務員)の数やシートの列数など、さまざまな条件で検索できます。条件に合った夜行バスが見つかったら、そのまま予約も可能です。スマートフォンでも利用できます。

まとめ

夜行バスを運行するバス会社の多くは、安全対策や新型コロナウイルスの感染予防をしており、どちらも過度に心配する必要はありません。ただし、取り組み内容はバス会社によって異なるので、事前にWebサイトで確認すると良いでしょう。