夜行バスで輪行はOK?注意点やできない場合の対処方法まで

公共交通機関を利用して自転車を運ぶ「輪行」を検討している方は多いのではないでしょうか。フェリーや飛行機、鉄道などでは比較的一般的な輪行ですが、実は夜行バスでは難しいケースが多いようです。しかし可能なケースも一部にはあり、夜行バスを利用した輪行を検討している方はその条件などをしっかりチェックしておきましょう。


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輪行とは?

「輪行」とは公共交通機関を使い、自転車を運ぶことを指します。自転車で通行するのが難しいルートを通る場合や、旅先への移動、行程を省略するなど、その目的はさまざまです。サイクリング愛好家にとって自転車での行動範囲を広げ、楽しみをより広げてくれるのが輪行だといえるでしょう。

輪行という言葉は競輪選手が競技場まで移動する際に使っていた用語が由来です。日本サイクリング協会が鉄道会社へ交渉し、同協会の選手たちが手回り品切符を購入して自転車を電車内に持ち込めるよう許可を受けたのが始まりだといわれています。

その後、同協会の選手以外でも手回り品切符を購入すれば輪行できるようになりました。現在では電車での輪行はほとんどの場合、別途料金は不要となっています。

電車の他にも飛行機やフェリー、新幹線を使った輪行が一般的です。いずれの場合も「自転車を折りたたむ」、「輪行袋に入れる」などの条件があるため、事前に確認しておきましょう。

夜行バスで輪行は基本的には不可能

バスも電車や飛行機などと同じく公共交通機関ですが、バスを使った輪行は可能な場合と不可能な場合があることを知っておきましょう。

一般的な路線バスでは可能となる場合が多いようですが、バス会社や路線によっては不可となることもあります。また自転車を収納しておく輪行袋は大きくスペースを取るため、ラッシュ時や混雑時には乗車を断られる可能性があり、注意しておく必要があります。

一方で夜行バスなど高速バスでは基本的に輪行はできません。その理由と、一部可能な場合について、解説します。

輪行が不可能な理由

夜行バスなど高速バスで輪行が不可とされる理由は車内に大きなスペースがなく、持ち込みが難しい点が挙げられます。トランクルームが狭い場合も多く、バスによってはそもそもトランクルームがないこともあるためです。

また大きく、重さのある自転車は他の乗客の荷物を破損させるおそれもあり、バス会社にとっては大きなリスクとなりかねません。

このような理由により、夜行バスなどの高速バスでは輪行での利用を不可としているケースが多い、というわけです。

一部可能な場合もある

夜行バスなどでの輪行ができない点について解説しましたが、実は一部可能な路線やバス会社も近年は増えています。アウトドアやサイクリングの人気が高まり、需要が増えてきたことも一因といえるでしょう。輪行専用のプランが設けられている路線もあります。

ただし利用の際にはいくつか注意が必要です。定められた規定やルールから外れる場合は輪行できず、バスをキャンセルするか自転車をその場に置いていくのどちらかの対応を求められます。もちろんその際にはキャンセル料が発生し、停留所に置いていった自転車が万が一盗まれた場合などは自己責任となるため、あらかじめしっかり確認しておきましょう。

専用の輪行袋に入れる

輪行する際には自転車を折りたたむか、タイヤを外すなど解体し、必ず専用の輪行袋に入れましょう。ビニール袋やカバンなどはルール違反となります。

また輪行袋に入れているものの自転車の一部がはみ出していたり、袋の口が開いていたりといったケースもNGです。しっかりと輪行袋の口が閉まる状態で積み込めるようにしておきましょう。

積み込みに関しては、バス会社で規定を設けているため、正しく対応できるよう事前に確認しておくことが大切です。たとえば、ハードケースがダメな場合や前輪だけを外して入れる輪行袋が認められない場合などがあります。

折りたたみ自転車であれば、折りたたんだ状態で輪行袋にいれるだけで良い場合が多いです。

積込み可能なサイズを確認する

積み込みが可能な場合は、サイズや重さにも規定があるのが一般的です輪行袋に入るからといって、すべての自転車を輪行できるわけではありません

以下は一般的な規定の例です。

・1辺が2m以内

・3辺の合計が250cm以内

・重さが30kg以内

条件を満たさない場合は積み込みができないため、事前に規定を調べておき、そのサイズに収まるように収納しましょう

自転車のサイズによっては、すべて折りたたんだ状態でも規定範囲内に収まらない可能性があるため注意が必要です。

そのほかバス会社のルールに従う

輪行には、積み込み方法以外にもさまざまなルールが決められています

積み込みは、スペースの関係で横積みになり、ほかの乗客の荷物と重なる可能性が高いです。輪行袋からはみ出ている場合や汚れの状態によっては輪行ができない、自転車のみの預かりは行っていないなど、バス会社のルールに従わなければなりません

自身の自転車が原因でほかの利用者の荷物が破損したときには、バス会社は責任を負わないのが一般的ですので、当事者で話し合う必要もあります。

そのほかにも多くのルールがありますので、代表的なものを以下にまとめました。

・事前予約をする

夜行バスなどの高速バスで輪行する場合は予約が必要なケースが多いため、事前に確認しておく必要があります。

座席の予約とは別に輪行の予約が必要となることもあります。その場合は500〜1,500円ほどの別途費用がかかる場合が多く、こちらもあらかじめ確認しておきましょう。さらにバス1台あたり、輪行できる自転車の台数に制限が設けられている場合もあります。確実に輪行するためにも、予約の要不要や予約方法、費用の有無などをチェックしておくことは重要です。

持ち込めるサイズや、輪行袋のタイプなどもバス会社や路線によって異なります。また同じ路線であっても複数のバス会社が共同運行している場合があり、便によって会社が異なると輪行が不可となるケースもあります。これらの点も忘れず確認しておきましょう。

・自転車が破損しても自己責任となる

輪行の際には積み込んだ自転車が他の荷物とぶつかり、破損する可能性が考えられます。このような場合、バス会社は積み込みの荷物に対して基本的に責任は負いません。したがって破損は自己責任となることを理解した上で自転車をバスに積み込むようにしましょう。

・ほかの乗客に配慮する

輪行する際は自転車を折りたたんだり、輪行袋に入れたりと乗車前に時間がかかることが多いです。乗車直前に自転車を収納する場合などは時間に余裕をもって移動し、定刻の出発に影響を与えることのないようにしましょう。

また自転車を入れた状態の輪行袋は大きく、通行の妨げとなったり周囲へ迷惑をかけたりする可能性があることを十分に認識しておくことも重要です。

乗車当日に輪行不可と知った場合

トラブルや不備などによって、乗車当日に輪行ができなくなった場合には次のような対処を行わなければなりません

 

・自転車を自宅などに送って自分のみがバスに乗車する

・バスの予約をキャンセルして乗車しない

 

自分のみがバスに乗車する場合には、自転車を輸送するための費用が発生します。バスを当日キャンセルしたとしても、キャンセル料が発生することがあるため、どちらにしても輪行できないと痛い出費になります。

そのため、キャンセル料やバス乗り場からの輸送料金などを事前に確認しておくことが大切です。また、当日に輪行不可とならないよう、規定や条件などもしっかりと確認して準備しておきましょう

夜行バスで輪行する際の自転車の折りたたみ方法

自転車の折りたたみ方法を把握しておくことで、夜行バスでの輪行をスムーズに行えるようになります。事前に準備する道具や手順について解説します。

必要なアイテムをそろえる

ロードバイクやクロスバイクを折りたたんで輪行する際は、基本的に輪行袋とエンド金具があれば対応可能です。

輪行袋にはショルダーベルトや固定用のストラップが付属しており、コンパクトに折りたたむことができるため荷物にもなりません

ブレーキレバーを緩める

まずは、ホイールを取り外しやすくするために、前輪と後輪のブレーキレバーを緩めてくださいブレーキレバーが締まった状態だと、ブレーキゴムが邪魔をしてホイールが外れにくくなります

最初に前輪、次に後輪の順に緩めると良いです。作業に工具は不要で、アジャスターを時計回りに動かすことでブレーキレバーを緩めることができます

車輪を取り外す

次に車輪を取り外しますが、作業しやすいように自転車を逆さまにしますライトやサイクルコンピューターなどのアクセサリーを取り付けている場合は事前に外しておいてください。

自転車を逆さまにした後は、ホイールを固定している軸を外すためにレバーなどを緩めます

前輪は比較的簡単に外れますが、後輪はチェーンも関係するため少し難しく感じるかもしれません。チェーンは、前後の変速機をトップギアに設定して、ペダルを回しながら外側にかけておきましょう

両方の車輪を外すと、前輪、後輪、本体フレームの3つのパーツに分解できます。

エンド金具を装着する

後輪を外した後は、その部分にフレームを立てるためのエンド金具を装着しましょうエンド金具は、地面に垂直になるように取り付け、重みや移動の振動で角度が変わらないようにしっかり固定することが大切です

フレームを立たせたら、本体を車輪で挟むようにベルトで固定して折りたたみ作業完了です

輪行袋に入れて完了

最後に、輪行袋に入れて積み込みできる状態にしましょう輪行袋を広げて地面に敷き、上に折りたたんだ自転車をセットして袋の口を引き上げると簡単に梱包できます。本体フレームにショルダーベルトを固定して、袋の口を縛ると完成です。

夜行バスで輪行できなかったときの対処法

輪行が可能な夜行バスや高速バスはまだ一部であり、多くの場合は輪行することができません。しかしどうしても自転車を移動させる必要がある場合にはどのように対応すれば良いのでしょうか。以下の方法を検討してみましょう。

宅配便

宅配便で自転車を発送する方法があります。いくつかの宅配会社などがサービスを展開しており、利用してみるのもひとつの手段です。

ただしいきなり自転車をコンビニや郵便局などに持って行っても対応はできませんので、専用のサービスを利用する必要があります。

たとえば「シクロエクスプレス」は自転車専用の宅配サービスです。ロードバイクやマウンテンバイクなどスポーツタイプの自転車の宅配を専門としており、帰省や旅行、ロードレースの参加などでの利用する方も多くいます。申し込むと専用のダンボールが送付され、自転車を収納し、集荷の上で宿泊先のホテルなどに届けてもらえる仕組みです。

他にも佐川急便の「飛脚ラージサイズ宅配便」や、ヤマト運輸と日本サイクリング協会が提携している「サイクリングヤマト便」などのサービスがあります。それぞれ運賃や条件などが異なるため、前もって確認しておくことが重要です。

これらの宅配サービスは輪行する場合と比べ、費用や手間はかかってしまう点がデメリットですが、安全に運んでくれることや、保険に加入していることは大きなメリットだといえるでしょう。

自転車を買い替え輪行

輪行する際、自転車は折りたたむことが鉄則です。したがって折りたたみできないタイプは輪行可能なバス路線であっても、自転車を積み込むことはできません。

このような場合は思い切って自転車の買い替えを検討しましょう。輪行する際にはバス会社のルールや規定を守ることが大切です。輪行袋の利用や規定のサイズなどを今一度確認しておきましょう。

まとめ

輪行とは公共交通機関を使って自転車を移動させることを指します。電車や新幹線、フェリーなどでは規定を守れば輪行が可能ですが、バスの場合は夜行バスなどの高速バスでは不可とされる場合が多いため注意しましょう。一部に輪行が可能な場合もありますが、その際は決められた規定やルールをきちんと守り、他の乗客への迷惑とならないよう心がけることが重要です。