夜行バスが遅延したらどうすればいい?払い戻しや補償はある?

夜行バスは、夜の睡眠時間を利用して効率良く移動できる交通手段です。電車とは異なり、道路を走りますので、若干の時間変動は避けられませんが、大事な用事などがあるときに万が一遅延してしまったら、取るべき手続きは何かあるのでしょうか。


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夜行バスが遅延する原因

夜行バスは、昼間の乗り合いバスと同じように時刻表が組まれています。時刻表に記載された時間から遅延するとき、原因としてどのようなことが考えられるのでしょうか。

夜行バスは遅延するの?

夜行バスに関しては、多少の渋滞を見越して時刻表を組むことで、運行時間に余裕をもたせているため、大幅な遅延が発生するケースはほとんどありません。

また、工事予定が分かっているときや渋滞が起こっているとき、平日の朝で通勤ラッシュと重なりそうな時間帯に運行している場合などは、夜行バスを運行するバス会社が事前に路線申請したルートへ迂回する対応をとり、できるだけ運行時刻から遅れないための対策をとっています。

高速道路は、法令上路線バスに該当するため、原則として国から許可や認可を受けたルートを走らないといけませんが、2012年(平成24年)の制度改正によって事前の路線申請が可能となりました。

近年、高速道路のダブルネットワーク化が進んでおり、東名高速道路で工事があれば新東名高速道路へ、また名神高速道路の渋滞を回避するために新名神高速道路を通るなど、交通の分散化も進んでいるのです。このため、以前より渋滞が起きにくくなっていることも影響しています。

もし渋滞が起きなければ、途中のサービスエリアでの休憩時間を長くとるなどして、時間調整を行う場合もあります。状況によっては、休憩を長くせずに、予定よりも大幅に早い時刻に目的地へ到着するケースも見られるのです。

ただ、夜行バスは高速バスを走りますので、1分のずれもなく運行する確約はできません。運行時刻はおおよその目安として活用し、あくまでも運行予定であるという認識を持っておきましょう。

夜行バスが遅延する理由

夜行バスが遅延する理由の多くは、突発的に発生するトラブルです。次のような理由があげられます。

交通状況

夜行バスの遅延理由で多くみられるのが、交通状況による遅延です。特に、交通事故による渋滞は予測ができないうえ、高速道路が数時間にわたって通行止めになることもあります。このときに、迂回できない状態になると、高速道路から降りることもできずに、バスの中で缶詰になってしまう恐れもあるのです。

また、事故渋滞ではなく、通行車両が集中して起こる自然渋滞が原因で遅延するケースも考えられます。ただ、夜行バスでは昼間に比べて交通量が少ないため、自然渋滞が起こる可能性は昼間よりも少ないといえるでしょう。

天候

天候が原因となる遅延には、強風や台風、降雪などがあります。強風や台風では、自家用車よりもバスの方が風を受けやすいことから、慎重に運転しなければなりません。降雪の場合も、スリップしてしまったり、安全のために高速道路が通行止めになってしまったりします。このときに、予告なく急遽バスが運休となる場合もあるのです。

天候による遅延の影響をできるだけ避けるために、天候悪化が心配されるときには、天気予報をこまめに確認してからバスの予約をとるのが安心です。

その他

交通状況や天候のほかにも、稀ではありますがバスの車両故障による遅延が発生する場合もあります。その場で修理が不可能な場合に、代車の到着を待たなくてはいけないこともあり、大幅な遅延に繋がる可能性も出てくるでしょう。

夜行バスが遅延したときにすべきこと

自分が乗車する・もしくは乗車している夜行バスが遅延した時には、どのようなことを行うべきなのでしょうか。

運行状況を確認する

バスの運行会社のホームページには、運行状況が掲載されていますので、内容を確認しましょう。もしくは、運行会社に直接問い合わせると、より詳細な状況を教えてもらえます。

遅延したのみでは、運行会社から予約客へ連絡は入らないのが一般的です。運休が決まった場合には、メールや電話などで連絡が届きます。また、ホームページや停留所などにも案内が表示されますので、こちらでも確認可能です。

諸連絡を済ませる

遅延することが確定した場合には、到着後すぐに相手のある予定が入っている方や、到着場所近辺まで迎えに来てもらう方などには、すぐに連絡を入れましょう。

夜行バスの車内では、寝ている方がおられるため、緊急時以外の通話は原則禁止としている会社がほとんどです。電話で連絡する場合には、サービスエリアなどで停車している最中に車外へ出て電話をかけましょう。メールやSNSなどで連絡がつく相手であれば、メッセージを送信しておきましょう。

遅延証明書をもらう

多くのバス会社では、遅延した証明として遅延証明書を発行します。仕事で必要な場合や、大事な試験などのために夜行バスを利用した方は、遅延証明書を受け取り、必要に応じて提出しましょう。

証明書の発行には、30分以上遅延した場合など条件を設けている会社もあります。一方で、道路を走るバスの特性上、状況次第では定刻通りの運行が難しいことから、証明書そのものを発行しない方針をとっている会社もあります。このように、対応方法は会社ごとで異なりますので、問い合わせが必要です。

どの会社にも共通していえるのは、遅延証明書はバスの遅延を証明するものである点です。遅延によって生じた損害の賠償や、乗車券の払い戻しなどを行うことはありません。

遅延しても返金や補償はない?

夜行バスが遅延した場合に、返金や補償などは受けられるのでしょうか。これには、夜行バスの特性が関係しているのです。

遅延による返金や補償

夜行バスの遅延では、料金の返金および損害に対する補償などは一切行われません。遅延により目的地への到着が遅れ、タクシーや宿泊などを利用することになっても、手配の依頼や費用の請求などはできないのです。

これは、夜行バスの運賃は目的地まで乗車するための金銭であり、時間に関する規定がないためです。つまり、どれだけ遅れても、目的地に到着できれば、夜行バスは役目を果たしたことになります。よって、遅延に関して発生した金銭の請求は一切できません。

たとえば鉄道に乗るときに、特急券を買ったにもかかわらず、2時間以上の遅延が発生した場合には、特急料金は返金されますが、もともと制限速度が決められているバスには特急料金の概念はありません。

ただし、夜行バスが運休した場合は、目的地に到着することができないため、返金が行われます。さらに、途中で運行を中止したり、バス会社側の都合で乗客がバスを降りなくてはいけなくなったりしたときも、同じく目的地に到着できませんので、返金手続きがなされるのです。

気を付けておくべきこと

夜行バスは、いったん予約した後で、お客様都合で乗車前日や当日にキャンセルしようとすると、料金の40%から50%の取消料がかかります。ホームページなどで遅延が発生しているのを知った後で取り消ししても、全額返金は不可能です。

先述したように、夜行バスは風に大変弱い乗り物です。予約する時点で、天気予報や台風・強風情報をチェックされることをおすすめします。また、目的地に到着後、時間に制約のある予定を立てている場合も、突発的な遅延が発生すると予定が狂いやすくなってしまいます。

電車や飛行機は、専用の通り道があるため、定刻に到着できる確率が高まりますが、バスは一般道や高速道路を走るため、分単位でぴったり到着するのは難しいものです。利用目的に合わせて、どの公共交通機関を利用したら良いのかを使い分けるのもひとつの方法です。

まとめ

夜行バスは、電車や飛行機に比べて時間変動が大きい分、料金を抑えて移動できます。附則の事態に備えて、夜行バスを利用する際には時間に余裕を持つ・代替できる鉄道路線があるかどうか調べておくなどの対策をしておくと安心です。